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フィンピンの貧困を客観的に考えてみる


フィリピンを象徴する乗り物、ジプニー

みなさんはフィリピンと聞いたら何を思い浮かべますか?


セブ島などのビーチ?

マカティなどのビジネス街を中心とした、発展著しいビル群?

あるいはストリートチルドレン?



最近テレビなどでフィリピンが紹介される時、ビジネスの中心地、マニラにあるマカティや、その周辺の新しく発展してきている街が紹介されることが多いように思います。

あるいは英語留学の場所としても有名になったセブ島、もしくは最後のフロンティアとも言われる、アジア随一の美しさを誇るパラワン島など。

そういうのとは別に、昔からのイメージでストリートチルドレンなどの貧困を思い浮かべる方もいるかもしれません。


今回は主観的なイメージではなく、客観的なデータからフィリピンの貧困について見てみたいと思います。

目次

 

フィリピンの経済状況


世界銀行の発表によりますと、フィリピンの2019年のGDPは3,568億ドル、1人当たりGDPは3,294ドルとなります。だいたい日本の1/14くらいでしょうか。(2019年の日本の実質GDPは約550兆円)

ASEAN10カ国の中では、インドネシアに次ぐ6位で、ベトナムよりも上になります。

経済成長率は6.04%、他のASEAN諸国と同じく急成長しています。


また同じく世界銀行の発表によりますと、フィリピンの2019年時点の貧困率は20.8%となり、38.1%を記録した2000年から20年間でフィリピンの貧困率がおよそ半減したということです。

 

フィリピンの各家庭ごとの所得分布


今度は家庭ごとの所得分布を見てみます。


家庭ごとの所得分布(全国平均)

2018年フィリピン統計局の発表によりますと家庭ごとの所得分布は次のグラフのようになるようです。

最も多い分布は10万ペソ以上25万ペソ未満の層で全体の約半数のおよそ46%になります。 また中間層を 5000ドル以上と 考えた場合、 ペソに換算するとだいたい25万ペソ以上と考えられ、 その場合2018年のフィリピン全体の中間所得層は およそ45%となります。

2012年時と比べてみた場合、 2012年の中間所得層がおよそ29%でしたので、 そこから大幅な増加が見られます。

ただこれを地域ごとに見てみるとまた違った面が見られます。


マニラ首都圏と地方の違い

マニラ首都圏では 約3/4にあたる 73%ほどが中間所得層になりますが フィリピンのドゥテルテ大統領が市長をしていたダバオ地域を見てみると 中間所得層の割合は その半分にも満たない 約34%になります

(この地域差の問題はまた別の機会に考えてみたいと思います。)

このように、地域差はあるとはいえ成長著しいフィリピンですが、ここでもう一度貧困率を見てみたいと思います。


貧困率から見る貧困状況

フィリピンは2017年に人口1億人を突破しました。2019年の人口が約1億人だとすると、 貧困率20% は約2000万人になります。 これはなかなかインパクトがある人数です。

ちなみに2015年の世界銀行のデータでは 1人当たり1日約 200円以下で生活する、 国際貧困ライン 以下で生活する人は およそ6%(約600万人)となっています。


今回のデータから、フィリピンは着実に経済的成長をしており、全体として収入も上がっているのがわかります。一方で、貧困からまだまだ抜け出すことができない人たちがいることもわかります。

 

まとめ


今回はフィリピンの貧困を客観的なデータから見てみました。


主観的な目線だけだと、発展著しい街を見てもう貧困は無くなったと考えてしまったり、あるいはスラム街やストリートチルドレンを見て、一部の人だけに富が集中して格差が広がっていると考えてしまったり(最も、格差の広がり自体は確実にあると思いますが)、自分たちがどの立場に立ちたいかによって随分と見えるものが変わってしまうように思います。

そのため、一度客観的な目線から見て全体像を眺めてみること、あるいは客観的なデータと実際に起きていることのギャップを感じ、そのギャップがなぜ起きているのか考えてみること、そういうことが大事なのかなと、実際にデータを見ている中で感じました。


実際に各家庭に必要な収入は?

余談ですが、以前フィリピンのパートナーが調べたところによると、5人家族が不自由なく暮らすには月に37,500ペソ(約80,000円)が必要なのだそうです。年間にすると450,000ペソ(約960,000円)、グラフ上ではほぼ一番上のグラフの分布になります。(2018 年現在でもまだ約15%の世帯しかそこに達しておらず、だから数家族が共同で生活することが多くなるのだと思います。)


ワールドブリッジクラブではこの数字を一つの目標と考え、貧困層に属する人はもちろん、貧困層20%には入らないけれどまだ所得が十分ではない人たち、そういった人たちも含めて収入を上げていけるような仕組みをパートナーと一緒に作り上げていきたいと考えています。

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