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紛争鉱物や少年兵について学べる映画『ブラッドダイヤモンド』


先日、紛争鉱物規制に関するニュースを見て思い出したので、鉱物紛争や少年兵について学べる映画を紹介します。


目次

 

『ブラッドダイヤモンド』

ブラッドダイヤモンドは2006年制作のアメリカの映画。舞台は内戦が続いていたアフリカのシエラレオネ共和国。 ある日漁師であるソロモンの村が反政府組織のRUFに襲われてしまいます。家族はなんとか逃げることができましたが、ソロモンはRUFに捕まり、ダイヤの採掘場で労働させられることになります。ソロモンはそこで大粒のピンクダイヤを発見し隠そうとしますが、RUFの大佐に見つかってしまいます。奪い取られそうになったちょうどその時、政府軍による攻撃があり、ソロモンは留置場へ収容されます。

一方、アフリカ大陸出身の元傭兵で武器商人のダニー(レオナルド・ディカプリオ)は、RUFに武器を売り、その代金として受け取ったダイヤを隣国リベリアへ密輸中に逮捕され、ソロモンのいる留置場へ移されます。ソロモンが大粒のピンクダイヤを持っていることを知ったダニーはソロモンに接触しダイヤを手に入れようとします。

留置場を出たダニーはジャーナリストのボーエンと出会います。しかしボーエンが紛争ダイヤの密輸の実態解明のために近づいて来たのを知り、初めは拒絶します。その後ダニーはピンクダイヤを手に入れアフリカを脱出するためにボーエンに協力することに決めます。 ボーエンの協力を得て、難民キャンプにたどり着いた3人。そこでソロモンは家族に再会しますが息子の姿がありません。逃げる途中でRUFに捕まり少年兵にされてしまっていたのです。

一つのピンクダイヤを巡る物語。ダニー達とRUF、そしてダニーの元上官も巻き込み、舞台は再びダイヤの採掘場へと戻ってきます。

 

紛争鉱物とは

この映画でも出てきますが、紛争鉱物とは武装勢力の資金源になる鉱物のことです。 映画の中では、シエラレオネから隣国リベリアへダイヤを移し、そこからダイヤを輸出することにより原産地をわからなくしているとあります。 紛争鉱物は市場全体の15%。多くは紛争とは関係ないものですが、そこに紛争鉱物が紛れ込んでいるということです。

 

ドッド・フランク法

ドッド・フランク法はアメリカの法律で、簡単に言うとある鉱物を扱う企業が、その鉱物がどこで取れてどのようにして来たのかを、第三者によって明らかにするということ。 今までは紛争鉱物とそうでない鉱物が途中で紛れ込んでしまえばわからなくなっていたところですが、この法律では採掘までさかのぼって証明する必要があるということです。

その証明には莫大な労力と費用がかかりますので、経済的にはマイナスになるという話なんですね・・・

最近ではその代わりに都市鉱山鉱物(都会で捨てられたり使われなくなった鉱物)を利用しようという動きもあるそうです。

ドッド・フランク法はアメリカの法律ですが、ヨーロッパでも同様の動きがあるそうです。

 

少年兵

この映画の中でソロモンの息子が武装勢力に捕まり少年兵にされてしまいます。

家族から隔離された子どもたちに対し、「家族に見放された、落ちこぼれだ」等という言葉をぶつけ自尊心を奪っていました。 その後自分たちは味方だ、立派な兵士になれると言い、人を殺させます。 精神的に不安定になる子供たちを麻薬漬けにし、洗脳することにより少年兵となっていきます。

2002年2月12日に、18歳未満の子どもの徴兵を禁止する「武力衝突への子どもの関与に関する子どもの権利条約選択議定書」が発効したことを受け、2月12日は『子どもの兵士の使用に反対する国際デー(The International Day Against the use of Child Soldiers)』となっています。(レッドハンド(血に染まった手)デーとも呼ばれています。) その数は確実に減ってきているようではあるのですが、いまだに数万の子どもたちが紛争の中で兵として戦っていると推定されています。

 

終わりに

この映画を始めて見た時はかなりの衝撃を受けました。宝石もただ高価なものという認識で、どこでどのように採れるかなんて意識したこともありませんでした。

そしてこの映画のいいところは、政治問題を取り入れながらも説教臭くならず、エンタテイメント作品として非常によくできているということです。

レオナルド・ディカプリオはこの作品でアカデミー賞にノミネートされ、アイドルからすっかり本物の役者になっています。アクションシーンも多いので、それだけでも楽しめると思います。

最後に映画の中で出てきた印象的なセリフを紹介し終わりとします。

武器商人であるダニーを批判するジャーナリストのボーエンにダニーが言ったセリフ

「君も血のダイヤ(ブラッドダイヤモンド)を売っている。」 「誰がダイヤを買うと思う?  大きな婚約指輪を欲しがるアメリカの女性だ。

 君らのご立派な雑誌に載ってる指輪を欲しがる。」

ピンクダイヤを隠した採掘場の近くまで来た時にソロモンがダニーに言ったセリフ

「なぜ人々がダイヤモンドを欲しがるのかはわかる。」 「でもなぜアフリカ人同士が争う?」

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