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それって本当に要らないもの?ごみの概念を変える「アップサイクル」という手法


いまや生産者も消費者も共にサスティナブルな態度が求められる時代。ここ数年で使い捨てはできるだけやめて、マイボトルとエコバッグが必需品になったという方も多いと思います。廃棄に対する問題意識は高まり、ごみの分別やリサイクルは常識になってきたものの、ものを選ぶ基準が変わったかというとどうでしょうか?今回は、循環型社会を目指す上でも重要なキーワードでもある「アップサイクル」に注目します。


目次

 

アップサイクルとは


アップサイクルとは、通常は捨てられてしまう不用品に手を加えることで、新たな価値あるものへと生まれ変わらせる取り組みのこと。もとの素材や形状を生かしつつ、さらに良い製品へとアップグレードさせるのが目的で、その分、企画力やデザイン性が求められます。原料に戻すプロセスを踏まないので、コストやエネルギーが抑えられ、環境に優しい仕組みであるところも特徴。また、昨今、もののライフサイクルを考えることは世界的に重要な課題で、様々な企業が積極的にアップサイクルに取り組んでいます。


 

リユース・リサイクルとの違いとは?


「リユース」や「リサイクル」も地球環境を守るためのアクションですが、アップサイクルとはそれぞれ方法が異なります。


■リユース

リユースはものの形を変えずに再利用すること。たとえば、古着やおもちゃを誰かに譲ることも、リターナブル瓶を繰り返し使うこともリユースです。他には、フリマアプリやリサイクルショップで中古品を売り買いする、まだ使えるものを非営利団体に寄付するなど。ものの寿命や行先を考えることで、身近なところからリユースを実践することができます。


■リサイクル

リサイクルはものを再資源化し循環させること。古紙を原料にしたトイレットペーパー、ペットボトルから作るプラスチックトレイなど、ものを原料レベルに戻した上で、新しい製品として再生させます。現在の技術では全ての素材をリサイクルできるわけではなく、再資源化の過程でコストがかかり、エネルギーを消費することも避けられません。リサイクルに依存してゼロ・ウェイスト(ごみをゼロにする)を実現するには限界があると考えられています。


 

アップサイクルの歴史


アップサイクルという言葉が使われるようになったのは、1994年にドイツのメディア「SALVO NEWS」の記事内[i]で、ダウンサイクルの対になる概念として説明されたことが発端と言われています。ダウンサイクルはいわゆる従来型のリサイクルのことで、まだ使えるものを細分化し、結果的に以前より質の低いものを生産することになる問題を指摘し、これからはものの価値を下げるのではなく価値を上げるアップサイクルの考え方が必要であることを訴えました。


このような意識改革は、同時期に国連大学が提唱した資源を無駄にしない産業社会システムの構築を目指す「ゼロエミッション構想」[ii]やグローバルでクリエイティブなリサイクルプログラムを実践する企業「TerraCycle(テラサイクル)」[iii]の活動にも通じています。


2019年には国連が衣類のアップサイクルを通じてサスティナブルなファッションを推進するキャンペーン「ファッションチャレンジ」[iv]を呼びかけました。こうした世の動向によって、徐々に企業が行うアップサイクル活動も知られるようになってきました。購買行動もただ消費を目的とするのではなく、今後ますます、生活者としてエコでサスティナブルな視点を持つことが求められるようになるでしょう。


 

覚えておきたいアップサイクル商品


ユニークなアイディアとクリエイティビティ。

アップサイクルをリードする魅力的なブランドをご紹介します。


FREITAG(フライターグ)

アップサイクルの先駆け的存在とも言えるブランド。1993年にスイス チューリッヒで、フライターグ兄弟が創業しました。ある日使用済みのトラックの幌が手に入り、メッセンジャーバッグを作ることを思いついたことがことの始まり。幌の他に自転車のインナーチューブやシートベルトなど廃材を組み合わせて作るバッグはどれもユニーク。バッグ以外にも財布やカードケースなど様々なアイテムを展開しています。

https://www.freitag.ch/ja


BEAMS CUTURE(ビームスクチュール)

BEAMSがオリジナル商品のデッドストックをリメイクすることで新たな価値を持つ1着へと蘇らせるプロジェクト。様々な素材を織り交ぜ、丁寧な手仕事によって作られる服は特別な存在感を放ちます。クリエイターやブランドとのコラボレーションにも積極的で、既存のイメージに縛られないクリエイションに期待が集まっています。

https://www.beams.co.jp/special/beamscouture/#sec-concept


Sur(サー)

眼鏡の産地として世界的に有名な福井県鯖江市で、大量生産の際に出るフレーム端材に新たな価値を見出し、アクサセリーを製作するブランド。フレームに使われるアセテート素材の透明感を活かしたピアスやイヤリングが人気です。ブランド名の由来は余剰を意味するsurplus(サープラス)から。地場産業の資源に付加価値を与えることで、創造性のある地域社会の実現も目指しています。

http://sur-j.com/top.html


CARTON(カートン)

「不要なものから大切なものへ」をコンセプトに、段ボールアーティスト 島津冬樹さんが立ち上げたブランド。好きが高じて、世界各地に足を運び集めた段ボールコレクションから作られる財布は、どこか温かみがあって異国を旅してきたような風情を感じる佇まい。島津さんの活動と CARTONの歩みを追ったドキュメンタリー映画「旅する段ボール」が2018年に公開され注目を集めました。

https://store.carton-f.com/



 

アップサイクルブランド【Bago】

WBCのパートナー企業であるBagoは、フィリピンのマニラにある社会企業で、不必要となった厚手のビニールシートをアップサイクルしてバッグや収納ボックスを作っています。


Bagoは不必要となった素材をアップサイクルして新しい商品を生み出すことを目指して作られた社会企業で、現在はPathway For Hopeと協力して商品を作っています。


Pathway For Hopeは、フィリピンのマニラで2018年から行われている地域開発プログラムです。このプログラムは、経済的に困難であったり、機会が限られている女性たちやその家族の自立の支援を目的としています。Pathway For Hopeでは2020年までに数百人の女性たちに様々なスキルトレーニングを提供し、現在も活動を続けています。


Bagoの商品はPathway For Hopeでスキルトレーニングを受けた女性たちが手作りで作っています。BagoとPathway For Hopeは商品作りを通して女性たちに就労の機会を提供しています。


 

*注釈

[i]「SALEVO NEWS VOL.23」 ライナー・ピルツ氏への取材記事から https://www.salvoweb.com/files/sn99sm24y94tk181119.pdf [ii] 1994年に当時国連大学の学長顧問であったグンター・パウリ氏が提唱した。ある産業から出た廃棄物を別の産業が利用することで、廃棄物の経済価値を上げ、環境への負荷を減らす試み https://www.zeri.jp/zero/ [iii]2001年プリンストン大学在学中にトム・ザッキーが設立したリサイクル事業を推進する会社。現在世界23ヵ国を拠点に展開する。ごみをヒット商品に変えるというユニークな発想で、今までリサイクルが難しいと言われていたものも資源として回収し製品化している。https://www.terracycle.com/ja-JP/about-terracycle [iv]気候行動サミット2019に合わせて行われた国連によるキャンペーン https://www.unic.or.jp/news_press/info/34224/

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